前のめりな人
私は、Aztec Camera(アズテックカメラ)というバンドがいちばん好きで、色々な音楽は聴くけれど、「アズテックカメラしか好きじゃない」という状態がかれこれ30年近く続いている。
主人は音楽が好きな(詳しい)人だが、私がアズテックカメラがいちばん好きだと言うと、
へえー、
「アズテックカメラも好き」とか
「アズテックカメラのこの曲が好き」とかは聞くけど、
アズテックカメラしか好きじゃない人には初めて会ったなぁ、とめずらしそうに言ったのを覚えている。
なぜ好きか?
前のめりなところ、そしてその前のめりさがものすごく好ましいから。
曲を聴いていて、感情が高ぶって調子っぱずれになるのがまた大好きなのだ。
私は他のジャンルにおいても前のめりな人が好きらしい。
没頭するあまり前のめりになってしまう人間に好感を抱く。それが歌手でも作家でも、あらゆる創作者に対して。
ライターをやっている私の長年の友人は、
インタビューしていると相手にどんどんにじり寄っていき、身体も前のめりになりアクションが大きくなり、カメラマン泣かせだと言っていたが、彼女のそういうところが好きだなぁ、と思う。文章にも、相手のことを知りたい!っていう気持ちがあふれている。
この前のめりさ、好きなものに対しての真っ直ぐさで思い出す絵本がある。
レオ・レオーニ
「あおくんときいろちゃん」
あおくんときいろちゃんは、遊びはじめると
「うれしくて もううれしくてうれしくて」←原文ママ この表現が私は大好きなのだ
あおくんの青ときいろちゃんの黄色が互いに混ざり合い、ひとつの緑になっってしまうというくだりがある。
ちょうどウクライナカラーなので、少し前にひっぱり出して読んでみたら、
これ人種やら宗教やらを超越した人の融和の話じゃん、と遠く離れた日本から思った。
今日もアズテックカメラを聴いて、前のめりな友人のことを考えた。
STRAY / ストレイ
なんで「カメラ」なの?、とだいたい訊かれる