チョコレート通貨
ときどき、
「スーパーで売っているようなチョコレートも食べるんですか?」
と訊かれます。クラフトチョコレートを売ってるくらいだから、大量生産される大手メーカーのチョコ(インダストリアルチョコレート)は食べないですよね?、とみなさん思うらしい。
食べます。
私は自分が売っているチョコレートが大好きですが、市場動向も興味あるし、どういう味だっけ、と思い出すために食べることもあります。
明治さんのMeltykiss(メルティキッス)も店頭に並び始めるとつい買ってしまう。メルティキッスは私にとって、とても思い出があるチョコレートなのです。
長女がまだ家にいた頃、よく長男に苦手科目を教えてもらっていました。教師志望の長女は、教えることがとても上手なのです。そんな彼女を労おうと、ある日ユーモアをこめて、
「明日さぁ、わるいけど、受験対策の仕上げに音楽みてあげてほしいんだけど…、メルティキッス1箱でどう」
と、もともとおやつにあげるつもりだったメルティキッスを差し出しました。そこに可笑しみを感じたらしく、「うーん、まぁいいよ」と引き受ける長女。
冬休み、メルティキッスは私と長女の間での通貨と化し、今日は「1メルティ」でどう?、「2メルティ」で頼む!といったような具合で、取引が行われました。
主要教科はともかく、音楽、家庭科、美術がからきしだめだった長男が志望中学校に合格したのは、長女の冬期集中講座があってこそ。長女は見返りに、ほどほどの数のメルティキッスを蓄えました。
古代、カカオはとても貴重で、お金として使われていたこともあったそうです。チョコレートも、他のお菓子とは違う特別感がありますよね。
自分への労いに、「あぁ、今日は1フョーク分は働いたわ」などと、ごほうびをあげるのもいいですよ!
※フョークチョコレート ノルウェーのBean to Bar
さて、食べ物にまつわる思い出でもうひとつ、
読めますか?
小学校低学年のころ、長男が図工の時間に作った、「今日のごはん」マグネット。
実物はもうさすがにないのですが、画像が残っていました。
マグネットのマスコットを作る図工の授業で、クラスではくだものや動物、乗りものなどを作るのが主流の中、鼻息荒く、得意げに持ち帰ってきました。
今でも変わりませんが笑、私の顔を見ると、
「今日のごはん何?」と毎日うるさいので、
「そんなに、ごはん、ごはん、言わないで。おかあさん、作るのいやになっちゃうわ」とあしらっていたら、
「ぼく、もうきかないよ!これに貼っておいてね」
と満面の笑みでプレゼントしてくれたのでした。
息子よ、すまん。
でも、私は君にごはんを作ることが大好きです。