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暮らしの中で

自立するということは、自分自身の台所を持つ、ということとイコールに近いと思う。

自分自身の台所を持つということは、自分で自分の食生活を何とかしていくことだ。私は17で親元を一度離れたが、いつ自分の台所を持ったか考えてみると、東京サラリーマン生活の始まりがそうだったと思う。

小さな台所に置く台所道具をひとつひとつ買いそろえていった。私は、「暮らしの道具と暮らしの流儀を考える」という会社にいたので、モノの選び方には一家言ある人たちの中でもまれ、台所道具も思案を重ねて選んだ。憧れの鍋を買って、それが土台となった。

その鍋を使いこめば使いこむほどに、「自分の暮らし」というものが形作られていったと思う。

その間に、母の作るコロッケが世界一おいしいと思っていたけれど、世間にはもっとおいしいコロッケがあるのだ、ということを知り、鍋物に入れる白菜はほうれん草を芯にしてくるくる巻いてあるのが当然だと思っていたけれど(白菜もほうれん草も下茹でしてからいろどり良く巻いていた)それが当たり前ではない、と知った。

ときどき母に電話してレシピを訊くこともあったけど、自分の生活には合わないことも多くて、結局は自分なりの定番ができていった。

上京した娘がほどなく、ミートソースの作りかたを訊いてきた。ストーリーズにあげられた初めての挑戦の写真は、野菜の切り方や火のいれかたが今一つで、冬に帰省したときに、

「ミートソースいっしょに作ってみる?」と言ってみた。

娘の答えは、お母さんのミートソースがいちばん好きだけど、その作り方を聞いてもたぶんそのまま作らないと思う、何回も自分で作りながら何となく形になるからそれでいい、

という内容だった。

それを聞いて、

あー、娘は自立しちゃった!

(少なくともしかけている)

と思ったのだった。

 

私の小さな店を選んでチョコレートを買ってくれる皆さま。

いつもありがとうございます!皆さんの暮らしに、食生活に加えていただけるということがとてもうれしいです。

最初に買った鍋。琺瑯が剥げてきたけどまだ現役。新宿伊勢丹の家庭用品売場で、セールにはなっていたけど高くて、すごく迷って買った。持ち帰るのも重かった。